お正月は実家に帰った。
帰ってもまだ大学生のオレは友人達と遊ぶのに手一杯だから、何も予定がない夕方には親父の料理の手伝いをした。
見慣れた食器や、ご飯を食べたテーブル、イス。
そんなのを見ていたら、ガキの時、オレが食器を割ってしまったことを思い出した。
怒られる、と思った。
時によってはオレや兄貴の足首を掴んで川の上に逆さづりにして頭を水につけようとする、親父だ。
でも親父は怒らなかった。
「形あるものは壊れるんだ。わざとじゃないなら気にするな」
今思うとこの言葉が後々のオレに寛容さを与えてくれている気がする。
ありがとう親父。
そんなこと考えながら、野菜を刻む親父の小さくなった背中を見ていたら少し泣きそうになった。
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